情報資源組織論

設題 指定したキーワードをすべて使って、各設問の解答を完成させてください。
1.現在、多くの公共図書館大学図書館で、外部の書誌データを利用した目録作成業務が行われています。集中目録作業と分担目録作業(=共同目録作業)、それぞれの特徴(意味や役割、課題など)を明確にし、さらに今後の目録作成業務のあり方について自らの見解をまとめてください。(1,000字)
<キーワード:MARC、集中目録作業、分担目録作業、総合目録、書誌ユーティリティ>
解答
      1行 一 はじめに
      2行  図書館では、収集する資料の選択やレファレンスサービスなどで、書誌情報が活用される。書誌情報は、目録
      3行 の作成にも利用され、多くの図書館においてコンピュータ目録が採用されている。書誌情報を一定のフォーマッ
      4行 トにより、コンピュータで処理できるような媒体に記録することを機械可読目録作業(MAchine  Rea
      5行 dable  Cataloging:MARC)と呼ぶ。図書館は、MARCから書誌情報をコピーし、自館の
      6行 蔵書データベースに登録することにより、目録を作成する。このような目録作成作業には、集中目録作業と分担
      7行 目録作業がある。
      8行 
      9行 二 集中目録作業
    10行  1つまたは少数の図書館が集中して目録作業をおこなうことを集中目録作業という。他の複数の図書館は当該
    11行 目録を利用することができる。目録作業をおこなう図書館のレベルが同じであれば、作業の質を維持することが
    12行 可能である。
    13行  しかし、特定の図書館が目録を作成している以上、それを利用する図書館は作成を待たなければならないこと
    14行 になる。この場合、新書の購入と目録の利用にタイムラグが生じることが問題となる。
    15行 
    16行 三 分担目録作業(共同目録作業)
    17行  複数の図書館が協力、分担して目録作業をおこなうことを分担目録作業または共同目録作業という。こうして
    18行 作成された目録は複数の図書館の資料を対象としているため、総合目録となる。分担目録作業においては、複数
    19行 の図書館が目録作業をおこなうので作業の質を均一化することが非常に重要となる。そのため、当該図書館の作
    20行 業実務を適切に関する組織が必要となり、それを「書誌ユーティリティ」と呼んでいる。
    21行  目録作業の質を保つことができたとしても、当該目録作業の量が複数の参加図書館により異なることが予想さ
    22行 れる。作業を積極的におこなう図書館もあれば、ほとんどおこなわず他の図書館にたよってしまう図書館が発生
    23行 するという問題がある。
    24行 
    25行 四 今後の目録作成業務のあり方
    26行  公共図書館では、図書館流通センターによる「TRC MARC」が広く用いられており、集中目録作業が普
    27行 及している。一方、分担目録作業は大学や研究機関の図書館で多く採用されている。集中目録作業であれ分担目
    28行 録作業であれ、その本来の目的は利用者が資料を探す時間をできるだけ節約することである。今後、新たな技術
    29行 が導入され、利用者にとって有意義に資料を検索できる目録システムを探求していくことが非常に重要である。
文字数 999文字
添付
参考
文献
榎本裕希子他著『情報資源組織論』学文社2012年 978-4-7620-2193-0
柴田正美他著『情報資源組織論 三訂版』日本図書館協会2020年 978-4-8204-1915-0
木原通夫他著『分類・目録法入門 新改訂第6版』第一法規2020年 978-4-474-06954-1
志保田務他著『情報視点組織法 第3版』第一法規2021年 978-4-474-07255-8

設題 2.地域の図書館(公共図書館)での現地調査もしくは調査対象館のHPの蔵書検索により、「蔵書の所在記号(背ラベル)の付与のしかた」について複数ケースを洗い出し、気づいたことをまとめてください。さらに、調査で得た内容や関連情報をもとに、書架分類と書誌分類という二つの点から、NDCの分類(記号)を活用することの意義や課題について考察してください。尚、調査対象館は“NDCを採用する近隣の公共図書館”で、取り扱う情報資源は“紙資料”とします。(1,000字)
<キーワード:書架分類、書誌分類、目録、配架(テキストでは排架を使用)、所在記号>
解答
      1行 一 はじめに
      2行  図書館では、主題などに基づいて資料を体系的に配架し、利用者が必要とする資料を自ら検索できるようにし
      3行 てる。この資料の分類方法を書架分類法という。当該分類にあたり日本では『日本十進分類法(Nippon 
      4行 Decimal  Classification:NDC)』が広く採用されている。このことについて、千葉
      5行 市図書館のHPの蔵書検索により、「蔵書の所在記号(背ラベル)の付与のしかた」について調査したので、以
      6行 下に記載する。
      7行 
      8行 二 千葉市図書館での蔵書検索結果
      9行  書名を「生涯学習」として検索してみた。資料の所在記号は、書架分類記号、図書記号および補助記号から構
    10行 成されるが、著者名・書名・出版社とともに実際の資料の背ラベルに書き込まれていた書架分類記号を以下に記
    11行 載した。
    12行  1 南里悦史編著『あすへの生涯学習と地域づくり』光生館 379//
    13行  2 小倉美津子著『生きてるかぎり学びたい』PHP研究所 914.6/オグ/
    14行  3 加藤恭子著『英語が楽しい』春秋社 830.4/カト/
    15行     上記資料の書架分類記号は379が社会教育、914が評論.エッセイ.随筆、830が英語である。「生
    16行 涯学習」という書名検索をしても、異なる書架分類記号が付された資料がみつかった。これはそれぞれの資料の
    17行 主題によって、配架位置が分かれていることをあらわしている。
    18行  また、書名を「ももたろう」として検索してみた。
    19行  4 いもとようこ文・絵『ももたろう』岩崎書店 E/イモ/
    20行  絵本等の資料は、NDCを使用しておらず、絵本コーナーの著者名の頭文字がイモのグループに別置されてお
    21行 り、探しやすいように工夫されている。
    22行 
    23行 三 NDC分類(記号)を活用することの意義や課題
    24行  NDC分類はすべての資料を10種類に区分けして、さらに上下にも階層をもち細分化していくので、分類構
    25行 造が把握しやすく非常にわかりやすい。これを書架分類に活用しているので、配架された資料の検索にあたって
    26行 は明瞭である。しかし、資料の主題は必ずしも特定の1種類により検索されるものではない。今回の千葉市図書
    27行 館の蔵書検索においても「生涯学習」に関係する資料が3つの場所に配架されている。通常、生涯学習に関係す
    28行 る資料を探す場合は、379の社会教育をあたるのではないだろうか。そこで、書架分類だけでなく、資料の目
    29行 録作成を重視した、同一の資料に複数のNDCを付与できる書誌分類も併せて活用する必要がある。
文字数 1004文字
添付
参考
文献
榎本裕希子他著『情報資源組織論』学文社2012年 978-4-7620-2193-0
柴田正美他著『情報資源組織論 三訂版』日本図書館協会2020年 978-4-8204-1915-0
木原通夫他著『分類・目録法入門 新改訂第6版』第一法規2020年 978-4-474-06954-1
志保田務他著『情報資源組織法 第3版』第一法規2021年 978-4-474-07255-8

講評

要約した場合も引用にあたりますので、どの部分をどの文献から引用したのか、明確に区別できるよう記述できているとより良いです。


総評: 合格