情報サービス論
設題 | 大学図書館における利用指導の内容7点を挙げ、それぞれについて簡潔に述べた後、利用教育の手段についてはどうあるべきか、最近の動向にも配慮し、貴方自身の考え方を含め論じてください。 |
解答 |
1行 一 序論
2行 大学図書館は、大学教育をより有用なものとするため、ある特定分野や主題に関する学術書や研究書を多く所 3行 蔵している。この点は公共図書館と大きく異なる。そのため、大学図書館を利用する者が、それを利用する際に 4行 、自らの作業課題のために必要な資料をいかにして探すかということについて、それを行うための知識が必要で 5行 あり、その知識を提供することも大学図書館の役割ともいえる。よって、利用者が自らの意思で自分のために牽 6行 引や内容目次などを利用することで、必要な資料を探し出せるようにする教育が必要となるのである。 7行 8行 二 利用指導の内容 9行 大学図書館がもっている情報源の利用についての指導の方法としては次の7点があげられる。 10行 1 オリエンテーション 11行 大学図書館が行う学生に対する図書館施設および資料の配置、資料の貸出手続きなどの利用の説明を行う。 12行 2 図書館ツアー 13行 図書館内を実際に案内し、利用の方法やサービスの種類を説明していく。 14行 3 OPAC検索・カード検索指導 15行 図書資料の検索をコンピュータ端末で行うための利用法を説明する。コンピュータ化 さ 16行 れていない場合はカード検索の利用方法を説明することになる。 17行 4 文献探索法(文献調査法) 18行 図書、雑誌、新聞記事などを探索する一般的文献探索法と、論文作成等のための特定の主題に関係して探索す 19行 る主題別文献探索法がある。 20行 5 コンピュータリテラシー教育 21行 主にインターネットの利用など、パソコンから得られる情報の正しい使い方を教える教育である。現代のイン 22行 ターネット社会においてはその重要性は増している。 23行 6 レポート・論文を作成するためのステップ指導 24行 レポート・論文を作成する手順を説明する。その過程において、参考文献を利用した際の引用の仕方などを指 25行 導する。 26行 7 視聴覚機器やコンピュータ機器を使っての編集指導 27行 レポート・論文を電子媒体での作成し提出する場合、パソコン上でのビデオ等の動画編集の仕方などを指導す 28行 る。 29行 30行 三 利用教育の手段 31行 実際の利用教育の手段については次の3つのものの利用がある。 32行 1 映像資料の利用 33行 ①動画を利用する 34行 市販のDVDを利用する。または、図書館独自で動画を作成する。 35行 ②書画カメラ(教材提示装置)を利用する 36行 書画カメラは、資料など主に平面の被写体をビデオカメラで撮影して、映像信号に変換する装置である。説明 37行 しながら必要があれば図などを書いて補足できる。 38行 ③スライドを利用する 39行 パワーポイントを利用したスライド形式による説明が多い。 40行 2 印刷物を利用する 41行 ①テキスト 42行 説明に必要な市販の教材をテキストとして使用する。 43行 ②図書館案内・練習問題 44行 図書館案内はふだん利用者に配布しているものを利用する。 45行 ③プリント資料 46行 図書館の立場から説明したいことを、臨機応変につめこんで作成する。独自の文章もあれば図書のコピーもあ 47行 る。 48行 3 パソコンを利用する 49行 ネット環境を利用し、教育プログラムを作成し、個々人で時間にあわせて履修させることが可能である。 50行 51行 四 まとめ 52行 大学図書館の利用教育における最近の動向としては、学生がレポートや論文の作成にあたって、資料収集のた 53行 めの図書館の利用について教育を受けることは効果的であるとされ、実際におこなわれている。データとしては 54行 やや古いが、平成16年度東海地区の大学図書館がどのように利用教育をすすめているかを調査した結果(中村 55行 康廣著「中京大学における図書館利用の推移と利用教育について」『中京大学図書館学紀要,2005』に掲載 56行 )、新入生オリエンテーションについて89%が、ゼミ・ガイダンスについて71%が、その他の利用教育につ 57行 いて図書館ニュース48%、希望者への利用教育59%が実施されているという内容であった。このことから、 58行 大学図書館ではさまざまな利用教育がなされており、利用教育のない大学図書館は存在しないといってよいと思 59行 われる。 60行 現代はインターネットの普及もあり、高度な情報化社会である。図書館にある情報も多種多様化している。こ 61行 のような状況において、大量の情報を十分に使いこなすには専門家が必要であり、その手助けにより情報の収集 62行 にあたらなくてはならない。大学図書館は、公共図書館に比べて、レポートや論文の資料としてや専門分野に関 63行 する調査のために利用することが多い。実際、レポートや論文を作成するより、先に知識として文献調査方法を 64行 知っていたほうが、作成に当たって効率的である。また、必要な資料をいかにして探すかということは図書館の 65行 利用に大きく関わってくるものである。さらに、レポートや資料を自分で探すことが、その過程でより有用な資 66行 料に出会うきっかでとなることもあるので、利用教育は非常に重要であると考える。図書館で働く者は、利用教 67行 育を行うことにより、大学での学びをより効率的なものにする援助ができるのである。 |
文字数 | 1992文字 |
添付 | |
参考 文献 |
丸本郁子他編『大学図書館の利用者教育』日本図書館協会1989年 4-8204-8905-4 阪田蓉子編『情報サービス論 補訂版』教育史料出版会2003年 4-87652-427-0 竹之内禎編著『情報サービス論』学分社2013年 978-4-7620-2194-7 中村康廣著「中京大学における図書館利用の推移と利用教育について」『中京大学図書館学紀要,2005』2005年 日本図書館研究会編『大学生と図書館』日本図書館研究会1992年 日本図書館協会図書館利用教育委員会編『図書館利用教育ハンドブック』日本図書館協会2003年 4-8204-0230-7 日本図書館協会図書館利用教育委員会編『図書館利用教育ガイドライン合冊版』日本図書館協会2001年 4-8204-0115-7 |
総評: 合格 |