図書館情報技術論

設題 レポート執筆者が考える「図書館を最大限に活用するため」または「図書館の利用を円滑にするため」という観点で着目した情報技術について、それらへの理解を深めた上で自身の意見を論じてください。
解答
      1行 一 はじめに
      2行  図書館においては、多様な情報をうまく処理し、利用者の利便性を高めていく必要がある。そのなかで、「図
      3行 書館を最大限に利用するため」とは、図書館利用者が資料の検索や貸出を通じて、自分に必要な情報を最大限に
      4行 取得することであると考える。また、「図書館の利用を円滑にするため」とは、図書館が提供する情報技術を最
      5行 大限に利用して、図書館利用者の資料検索や貸出・返却の時間を節約することであると考える。つまり、自分に
      6行 必要な情報を最大限に、短時間で獲得することを情報技術を利用することによって成し遂げようとするものであ
      7行 る。
      8行 
      9行 二 図書館業務と情報技術
    10行  図書館では、資料の貸出や返却、資料の検索、そして資料の管理にあたって情報技術が重要な役割をはたして
    11行 いる。どのような情報技術に着目し理解を深めるべきか以下に記載する。
    12行 
    13行 1 目録システム:OPAC
    14行  OPACとは図書館利用者に提供されるオンライン蔵書目録のことである。OPACの検索画面は、「簡易検
    15行 索画面」と「詳細検索画面」にわかれる。詳細検索は書名・著者名・出版社ごとに探したいことばを入力するこ
    16行 とができ、精度が高い検索が可能となる。なお、近年のOPACは、そのほとんどがウェブ上で利用できるよう
    17行 になっている。   
    18行 
    19行 2 貸出・返却システム
    20行  貸出・返却システムは、今誰がどの資料を借りているかが、タイムリーに把握できるシステムである。貸出に
    21行 あたっては利用者IDと図書IDのバーコードを読み込むことにより、両者を関連付け貸出管理が可能になる。
    22行 貸出期間を過ぎても返却がないときに、督促メールを自動発信することもできる。返却にあたっては図書IDの
    23行 パーコードを読み込むことで返却処理は終了する。
    24行 
    25行 3 マイラブラリー
    26行  図書館利用者に資料の貸出状況、予約状況を確認できる機能を提供するシステムをマイライブラリーと呼ぶ。
    27行 利用者は与えられたIDとパスワードを入力してこのシステムを利用する。マイライブラリーは、自分の読んで
    28行 きた本を見返すことができ、自己成長の助けとなる。また、設定したキーワードに該当する資料が図書館に入っ
    29行 たら知らせてくれる選択的情報提供サービスを提供するものもある。
    30行 
    31行 4 予約とリクエス
    32行  予約とは貸出中の資料が返却された際にその次に優先的に貸出してもらうサービスであり、リクエストとは、
    33行 図書館の未所蔵資料を他の図書館から取り寄せたり、購入して利用者に提供するサービスである。OPACと貸
    34行 出システムは連携しているので、OPACから資料の状態が在庫なのか貸出中なのかがわかり、貸出中の場合は
    35行 資料の予約ができる。また、検索した結果図書館に所蔵がない場合、OPACからリクエストをすることもでき
    36行 る。
    37行  なお、現在のOPACはほとんどウェブOPACとなっており、これを利用すれば、自宅にいながらにして予
    38行 約やリクエストを行うことことができる。
    39行  
    40行 5 ICタグ
    41行  図書館でICタグとは、資料識別用のICチップを資料に埋め込んだタグで、資料の情報を電波を使って貸出
    42行 ・返却システムと連携できる。これにより、貸出・返却の一括処理及び自動化が可能となる。
    43行  これは図書館などの識別のタグとして、ほとんどの図書館で普及しているバーコードに替わって、近年利用さ
    44行 れだした。これまでのパーコード方式では、図書に貼付したパーコードに読み取り機を押し当て一冊一冊認識し
    45行 なければならなかったが、ICタグは直接触れることもなく一瞬にしてそこにある図書を認識できる。よって、
    46行 ICタグのどうにゅうにより、数十冊の本の貸出・返却が一括処理でき、業務が迅速化、省略化される。
    47行 
    48行 6 デジタルレファレンスサービス
    49行  図書館のウェブサイトなどでレファレンス質問を受けつける場合、これらはデジタル技術を利用しているので
    50行 、デジタルレファレンスサービスと呼ばれる。インターネットの普及に伴って、メールによってレファレンス質
    51行 問を受けつけてこのサービスを行う図書館が増えてきた。
    52行 
    53行 三 まとめ
    54行  情報化社会において、図書館は以前に比べて格段に利用しやすい施設となった。主にOPACで資料の検索を
    55行 効率的に行うことができ、ウェブOPACではウェブ上で当該検索が可能になった。また、貸出・返却システム
    56行 、マイライブラリー、予約とリクエスト、そしてICタグによって、資料の貸出・返却の時間を節約することが
    57行 でき、予約やリクエストを利用してるので、情報収集の時間を短縮することができる。さらに、資料の検索にあ
    58行 たってはデジタルレファレンスサービスによって、図書館に来館することなく、レファレンスサービスが受けら
    59行 れる。
    60行  今後、図書館の利用教育や文献調査が一般化するにつれて、図書館に求められるニーズも変化していくと思わ
    61行 れる。この場合においても、新たな情報技術をうまく活用して、より多くの人に図書館を利用し活用してもらう
    62行 ことは非常に重要である。図書館員も常に情報技術について関心をもち、図書館業務への適用を考える必要があ
    63行 る。
文字数 2029文字
添付
参考
文献
齋藤ひとみ他編著『図書館情報技術論』学文社2012年 978-4-7620-2192-3
日高昇治著『図書館情報技術論』学文社2013年 978-4-7620-2366-8

講評

総評: 合格